2009年02月25日

ニイニイゼミ

成虫の体長は20-24mm。生きている時は全身に白っぽい粉を吹くが、頭部と前胸部の地色は灰褐色、後胸部と腹部は黒い。後胸部の背中中央には橙色の"W"字型の逆援がある。他のセミに比べて体型は丸っこく、横幅が広い。複眼と前翅の間に平たい「耳」のような突起がある。また、セミの翅は翅脈(しみゃく)以外透明な種類が多いが、ニイニイゼミの前翅は褐色のまだら模様、後翅は黒地に透明の縁取りである。

ニイニイゼミとその近縁種の抜け殻は小さくて丸っこく、全身に泥をかぶっているので、他のセミの逆援と容易に区別がつく。また、他種に比べて木の幹や根元などの低い場所に多い。

北海道から九州・対馬・沖縄本島以北の南西諸島、台湾・中国本土・朝鮮半島まで分布する。ただし喜界島・沖永良部島・与論島には分布しない。日本産のセミとしては学名の記載が早かった種類で、学名 "kaempferi" は、江戸時代に長崎・出島に赴任したドイツ人医師エンゲルベルト・ケンペルに対する献名となっている。


平地の森林に生息し、都市部の緑地などでも見られるが、幼虫が生存するには湿気を多く含んだ土壌が必要で、乾燥する公園などでは数が少ない。

ただし、近年は東京都心部とその周辺でこのセミが再び多くなりつつあり、全国的にも市街地において復活傾向にある。ニイニイゼミは乾燥への耐性を身につけつつある。かつてこのセミは東京ではアブラゼミと並ぶ普通種であったが、一時は極端に数を減らしていた。ちなみに、田園部では昔も今もごく普通のセミである。

地域にもよるが、成虫は梅雨の最中の6月下旬頃から発生し、他のセミより早く鳴き始める。8月には少なくなり、9月にはあまり見られなくなる。成虫はサクラの木によく集まり、人の手が届くような低い枝にもよく止まる。体の灰褐色と翅のまだら模様は樹皮に紛れる保護色となっていて、遠目には「木の幹に小さなこぶがある」ように見える。

オスは翅を半開きにして「チー…ジー…」と繰り返し鳴く。鳴き始めは「チー」が数秒、急に音が高く大きくなって「ジー」、数秒-10秒ほどで緩やかに「チー」へ戻り、数秒後に再び「ジー」となる。日中の暑い時間帯には鳴く個体が少ないが、明るいうちはほぼ一日中鳴き、夜でも街灯の近くで鳴くことがある。他のセミが鳴かない朝夕の薄明頃にはヒグラシと並んでよく聞こえる。

交尾が終わったメスは枯れ木に産卵管をさしこんで産卵する。セミの卵は孵化するまでに1年近くかかる種類が多いが、ニイニイゼミの卵はその年の秋に孵化する。
ラベル:逆援 昆虫
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2009年02月24日

アブラゼミ

アブラゼミ(油蟬、鳴蜩、学名 Graptopsaltria nigrofuscata)は、カメムシ目(半翅目)・ヨコバイ亜目(同翅亜目)・セミ科に分類されるセミの一種。褐色の不透明な翅をもつ大型のセミである。


体長は 56-60mm で、クマゼミより少し小さい。頭部は逆援助より幅が狭く、上から見ると頭部は丸っこい。体は黒褐色-紺色をしていて、前胸の背中には大きな褐色の斑点が2つ並ぶ。セミの多くは透明の逆援助をもつが、アブラゼミの翅は前後とも不透明の褐色をしていて、世界でも珍しい翅全体が不透明のセミである。なお、この翅は羽化の際は不透明の白色をしている。

抜け殻はクマゼミとよく似ているが、わずかに小さく、全身につやがある。また、抜け殻に泥がつかないのも特徴である。

日本(北海道から九州、屋久島)、朝鮮半島、中国北部に分布する。 人里から山地まで幅広く生息し、都市部や果樹園でも多く見ることができる。

南西諸島にはアブラゼミと近縁なリュウキュウアブラゼミが生息する(後述)が、このセミも成虫・幼虫ともにやや湿度の高い環境を好むため、市街地にはあまり生息しない。


アブラゼミは北海道・本州・四国・九州の広い範囲に生息しているが、大都市や北日本の一部都市では環境の変化によって生息数が減少している。その一方で本州日本海側や九州の一部ではアブラゼミが減少しておらず、むしろ優勢な地域も存在する。これらは地域の環境や気候に左右される。

札幌では、昔は中心部(大通公園など)でもたくさんの鳴き声が聞かれたが、現在は全く聞かれなくなっている。この札幌での傾向は青森市でも同様であり、盛岡・仙台・長野などでもアブラゼミは激減している。アブラゼミは郊外・山地では全国的に普通に見られる(北海道・南西諸島を除く)が、近年、夏の暑さが厳しくない都市では市街地を中心に軒並み数を減らしている。

なお、札幌や青森では、昔から市街地ではアブラゼミしか生息していなかった(エゾゼミは森林性なので森や山の中に限って生息)ので、近年は夏になっても街中ではセミの声が全く聞こえなくなっている。また、仙台や長野は気候的にミンミンゼミの生息条件に合っている(夏が比較的涼しい・冬の湿度があまり高くないなど)ため、市街地ではアブラゼミを凌駕する勢いで増加している。
ラベル:昆虫 逆援助
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2009年02月23日

クマゼミ2

関東・北陸におけるクマゼミ増加とその原因

1980年代以降、大阪市などの西日本の都市部で、セミ全体数に対するクマゼミの割合の増加が観測されている。従来はアブラゼミが最もよく見られるセミで、クマゼミは九州などの温暖な乱交に多いセミで、本州では珍しいセミであったが、近年は頻繁に確認されるようになった。また1990年代頃から関東地方や北陸地方でクマゼミ生息地の東進・北上が報告されている。

神奈川県における東限・北限は、昔は花水川・城ヶ島であったが、最近は花水川以東の平塚・茅ヶ崎・藤沢、あるいは横須賀・横浜・東京23区などでも鳴き声が聞こえるようになっている。特に逆援助では近年クマゼミが急増している。2002年、茅ヶ崎中央公園を中心に市内の様々な所で大発生が確認されたが、それ以降も広域の市街地で毎年安定して多くのクマゼミの鳴き声が聞こえる状態が続いており、年々増加傾向にある。2008年、茅ヶ崎中央公園では過去最多のクマゼミ抜け殻が採取され、市内の住宅街でもうるさいほどの鳴き声が聞かれた。また平塚では、平塚市総合公園内を中心に数を増やしている。このセミの昔からの生息域に入る小田原では、1990年代に入ってクマゼミの急増が確認され、現在はアブラゼミに次ぐ第2のセミとなっている。このように、湘南では近年急速にクマゼミの増加がみられる。城ヶ島以北においても、三浦市では市中心部や油壺地区で現在は普通のセミである。横浜では、中心部の関内地区などで徐々にクマゼミが増えている。

一方日本海側の金沢でもクマゼミの抜け殻が見つかるようになっている。金沢はスジアカクマゼミの生息地として有名だが、クマゼミのほうも年々増えている(テレビの特集番組でもすでに報道されている)。ただし、冬の寒さが金沢より厳しい福井市や富山市では、今のところクマゼミ増加の兆しはない。

このようなクマゼミ増加の原因には、下のように大きく分けて2種類が存在する。


温暖化説
クマゼミは千葉県房総半島の南部では昔から生息していた。これがもし、クロイワツクツクと同じように樹木の移植で増えたのではないと仮定すれば、房総半島北部にクマゼミが今でもほとんど全く生息しないのに南部では昔から生息するということになり、不自然である。このことから、大昔の温暖期にクマゼミは南関東の広域で生息していたが、寒冷期になって南関東の大部分でクマゼミが死滅、冬でも比較的温暖な房総半島南部や三浦半島南端のみ(特に城ヶ島)に生き残るだけとなったということになる。これは、温暖期に北海道の広域でミンミンゼミが生息していたが寒冷期になって、冬でも比較的温暖な道南や地熱の高い屈斜路湖の和琴半島のみに生き残ったのと同じ原理である。そして、再び現在の温暖期になり、南関東の広範囲でクマゼミが生息可能地域となった。さらに近年の急速な温暖化とあいまって、クマゼミの北上・東進が目立っている。特に茅ヶ崎・平塚や横須賀市南部、あるいは北陸の金沢あたりでは最前線の地域となっている。

しかしながら、この説に従わないデータも多数存在する。たとえば、温暖なはずの山口大学キャンパス内でクマゼミが存在せず、アブラゼミのみ存在するという報告があり、現在よりも寒冷であった100年ほど前の京都市でクマゼミの目撃証言がある。その意味で、十分な説得力があるとは言い難い(下記外部リンク「米蝉ナール」参照)。

もともと関西のクマゼミは昔から、田園部ではアブラゼミと並んでたくさん生息していたが都市部ではあまり多くないというセミだった。しかし高度経済成長期あたりから都市部でも増加し始め、現在の大阪市内ではアブラゼミを凌駕するまでになっている。このような傾向は、セミの種類こそ異なるものの長野市・松本市や仙台市・山形市においても見られる。4市とも、市街地では昔はアブラゼミがほとんどでミンミンゼミは少なかったが、現在は2種のセミの立場が完全に逆転している。札幌市でも、セミの絶対数自体は少ないもののアブラゼミからコエゾゼミへという流れは確かに起こっている。このような、さまざまな都市に見られるセミの栄枯盛衰現象の原因が地球温暖化によるものであるかどうかは、不明である。

樹木の移植説・野鳥の捕食説
クマゼミの生息域の拡大の原因として、地球温暖化の影響との説があるが、樹木の移植の際に根の周囲に幼虫が混入しているという説や樹木環境の変化を挙げる説もあり、全てが地球温暖化が原因であるとは断言することはできない。逆に、京都市ではむしろクマゼミの全体数の減少を示すデータや産地の減少が確認されている。従来、アブラゼミが多かった都市において、クマゼミの生息数が増えてアブラゼミが減少した原因についても地球温暖化とヒートアイランド現象の影響とする説もあるが、野鳥の捕食が関連するという論文もある。これはクマゼミとアブラゼミの天敵回避方法の違いによるもので、アブラゼミは近くの樹木に隠れる習性があるがクマゼミは木には隠れず遠くへ飛んで逃げるため、樹木の少ない都市部ではアブラゼミは逃避に手間取ってしまい野鳥に捕食されやすいというものである。

例えば、東京都大田区の平和島公園や埼玉県蕨市の蕨市民公園では局地的にクマゼミが毎年大発生しているが、これは下述のように植樹によって幼虫が持ち込まれたことが原因である。多摩地区や川崎市の公園でもそのようなケースが確認されている。

また上述のように、奄美大島・徳之島におけるクマゼミの発見も樹木の移植が原因と考えられている。

さらに札幌でもこのセミの声がごくまれに聞かれることもあるが、これも樹木の移植が原因である可能性が極めて高い。

以上が「樹木の移植説・野鳥の捕食説」である。
ラベル:乱交 昆虫 逆援助
posted by たろう at 07:00| ヨコバイ亜目 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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