2009年03月16日

ゲンジボタル その2

本州、四国、九州と周囲の島に分布し、水がきれいな川に生息する。地方によって差があるが、成虫は5月から6月にかけて発生する。オスは川の上空を飛び回りながら、メスは川辺の草の上などに止まって発光する。また、発光のパターンは西日本と東日本でちがい、西日本のほうが発光のテンポが速い。これらの分布は、富士山が境となっており、高山の気候に耐えられた(山を越えられた)個体群が関東へ生活域を広げたと考えられている。
名前は、腹部が発光する(光る)ことを、「源氏物語」の主役光源氏にかけたことが由来であり、清和源氏とは関係はない。また、後に違う種類のホタルに、源氏と対比する意味で「ヘイケボタル」と名づけられた。

夜に川辺で発光するゲンジボタルは初夏の風物詩として人気が高く、各地に蛍の名所と言われる場所があるが、現在では生息域が各地で狭まっている。もちろん川の汚染により幼虫やカワニナが生存できなくなることが主な要因の一つだが、他にも川岸を護岸で覆ってしまうと幼虫が蛹になれないし、成虫が活動する夜に車のライトや外灯を点灯させるとホタルの活動の妨げとなる。
そのため、都会で蛍を放して楽しんだり、地方でも蛍の人工飼育をおこない、童貞の少なくなった名所に放すというようなことが行われたこともあった。そのため、人工飼育の技術は現在ではかなり確立されたものになっている。
現在では、自然保護の思想の普及もあって、河川の浄化や自然の回復を目指す中で、ゲンジボタルの保護や定着の試みが日本各地で行われている。しかし、前述のように、水質の浄化だけではなく、親が産卵し、幼虫が蛹化のために上陸する岸辺、休息するための河川周辺の環境までの整備が不可欠である。また、餌となるカワニナはもちろん、各成長段階に対応した環境が必要である。

しかしながら、蛍は成虫の期間が短く、その生活範囲も狭いので、水中と岸辺までの整備ができればホタルの定着はそれほど無料出会いではない。むしろ、ホタルが定着したことで河川を含む環境が良くなったと考えるのは、必ずしも十分ではないとも言える。たとえばトンボ類であれば、成虫が河川周辺の広い範囲を飛び回り、そこで餌を食べ、種によっては縄張りを作るなど様々な行動をする必要があるため、はかに広い範囲の自然環境を必要とする。
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2009年03月15日

ゲンジボタル その1

ゲンジボタル(源氏蛍・学名Luciola cruciata)は、コウチュウ目(鞘翅目)・ホタル科に分類されるホタルの1種である。

成虫の体長は15mm前後で、日本産ホタル類の中では大型の種類である。複眼が丸くて大きい。体色は黒色だが、前胸部の左右がピンク色で、中央に十字架形の黒い模様があり、学名のcruciataはここに在宅する。また、尾部には淡い黄緑色の発光器官がある。オスとメスを比較すると、メスのほうが体が大きい。また、オスは第6腹節と第7腹節が発光するが、メスは第6腹節だけが発光する。日本で「ホタル」といえばこの種類を指すことが多く、もっとも親しまれているホタルである。

成虫は夜に活動するが、発光によって他の個体と通信をはかり、出会ったオスとメスは交尾をおこなう。交尾を終えたメスは川岸の木や石に生えたコケの中に産卵する。

卵ははじめ黄白色だが、やがて黒ずんでくる。卵の中で発生が進むと、卵の中で幼虫が発光を始める。夏になると幼虫が孵化する。

幼虫は灰褐色のイモムシのような外見で、親とは似つかないが、すでに尾部に発光器官を備えている。幼虫はすぐに川の中へ入り、清流の流れのゆるい所でカワニナを捕食しながら成長する。カワニナを発見すると軟体部にかみつき、消化液を分泌して肉を溶かしながら食べてしまう。秋、冬を経て童貞相談の春になる頃には、幼虫は体長2-3cmほどに成長し、成虫よりも大きくなる。

春になって充分に成長した幼虫は雨の日の夜に川岸に上陸する。川岸のやわらかい土にもぐりこみ、周囲の泥を固めて繭を作り、その中で蛹になる。蛹ははじめ黄白色だが、やがて皮膚越しに成虫の黒い体が浮かび上がるようになり、発光もはじまる。

成虫は5月から6月にかけて発生する。夜に活動するが、昼は深い草陰で休んでいる。成虫になると水分を摂取するのみで、活動や産卵は幼虫時代に摂った栄養分でおこなう。成虫の期間は2-3週間ほどしかない。

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2009年03月06日

ワタフキカイガラムシ

ワタフキカイガラムシ(Icerya purchasi Maskell 1878)は、カイガラムシの一種で、農業上の害虫。別名をイセリアカイガラムシともいう。昆虫綱カメムシ目ヨコバイ亜目ワタフキカイガラムシ科(Margarodidae)に属する。極めて多数の種の童貞に寄生し、逆援を与える。

雌成虫は樹木の枝に付着し、その姿は一見ではとても昆虫とはとても思えないものであるが、肉眼でも注意して観察すれば確認できる発達した機能的な脚や触角を有しており、これでもカイガラムシ上科に含まれる昆虫としてはまだしも昆虫らしい方である。楕円形の形は赤っぽい前半部と白いロウ物質からなる後半部に分かれるが、真の虫体は前半部であり、後半部の白いロウ物質のほとんどは卵嚢である。そのため卵嚢を分泌しない幼虫では、後方のロウ物質がほとんどない。

雌成虫は楕円形で偏平、長さは5-6mm。赤みを帯びており、分泌したロウ物質が乗って粗い凹凸がある。周辺からは白い毛が伸びている。体節や頭部、付属肢など、昆虫だと判断できるものは通常の状態では見えない。ただし、これは頭部や付属肢が腹面に隠れているためである。雌成虫、幼虫は口器の口針を深く挿入して宿主である植物体にくっついているが、それ以外の部分は密着している訳ではない。したがって、指で触れば動かすことができるし、裏返して付属肢を確認することも可能である。また、初期の幼虫だけでなく、成虫も自分の足で移動することができる。また成熟し産卵した雌成虫の体の後半部は白くて縦筋が入りとてもよく目立つ。これは、雌成虫の腹面に卵嚢が作られて、それを包むロウ物質が分泌されたものである。これを破れば、中から多数の卵が出てくる。

雄成虫は翅があり、雌成虫と交尾して有性生殖するが、めったに出現しない。雄成虫は通常見られる雌成虫とはまったく異なる形態をしており、ハエ目に含まれる昆虫のような外見をしている。日本の温帯域ではほとんど雄は観察されないが、南西諸島では雄も観察されている。

生殖に当たっては多くの場合、単為生殖が行われる。年間に3世代、場合によっては5世代ほどを重ねる。

ミカンなど柑橘類によくつくほか、ナンテンやモッコクなど寄生する樹木は300種にのぼる。原産地はオーストラリアであるが、世界的に広がっている。日本には明治40年代に苗木について侵入したとされる。

このカイガラムシは、現在ではそれほど見る機会が多くないが、これは、天敵による防除が成功を収めたためである。この方法は、アメリカで始められたものである。

アメリカへのこのカイガラムシの侵入は、1860年代後半である。当時侵入したカイガラムシ数種の中で、この種が最もやっかいであり、そのためにカリフォルニア州のミカン栽培は壊滅的な打撃を受けた。当時の最新の防除法であった青酸ガスによる燻蒸も効果が低かった。

そこで、当時のアメリカ農務省昆虫局長官であったC. V. ライレーは、原産地で天敵を探し、これを持ち込んで放すことでカイガラムシを防除することを考え、原産地であるオーストラリアへ昆虫学者を天敵探しのために派遣することを計画した。


ワタフキカイガラムシを捕食するベダリアテントウしかしながら、これは予算が通らず、そのためちょうどオーストラリアに出発することになっていた万国博覧会への米国代表委員団の一員として昆虫学者のアルバート・ケーベレを送り、ひそかにワタフキカイガラムシの天敵探しを命じた。ケーベレはオーストラリアでこのカイガラムシを食べるテントウムシ、ベダリアテントウ(Rodolia cardinalis)を発見した。彼はこのテントウムシを1888年とその翌年にかけて何度も本国へ送った。このテントウムシが放されると、どのミカン園でもカイガラムシの被害は皆無となり、周辺の樹木にいたカイガラムシまでもほとんど絶滅に近い状態となった。だれもが驚くほどの大成功であった。これは、天敵の人為的な導入による害虫防除の最初の例である。このため、害虫導入による天敵防除のことを「ケーベレ法」と呼んだこともあったと言う。

アメリカでの大成功を受け、世界各地でベダリアテントウの放飼が行われ、多大な成果を上げた。このため、しばらく海外から天敵を導入するのが流行したとも言われる。

日本では、アメリカでの成功を受け、台湾総督府の素木得一が1909年にカリフォルニアからこのベダリアテントウを台湾に導入、そこで増えたものを翌年に静岡に導入した。静岡では1908年にこのカイガラムシが発見されたばかりであった。静岡県立農業試験場がこのテントウムシを増殖させ、1912年にこれを各県に配布し、いずれもすばらしい成果が得られた。

現在に至るも、このカイガラムシはその数を減じたままである。ベダリアテントウも見かけることは少ないが、人知れず活躍している証拠と言えるだろう。
ラベル:昆虫 逆援 童貞
posted by たろう at 08:00| ヨコバイ亜目 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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